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真の国際人として社会で生きていく感覚

畑山理沙(Risa Hatayama)さん (バンクオブアメリカ・メリルリンチ/ニューヨーク本社)
 
高知生まれ、大阪育ち。
高校卒業後、オハイオ州立大学であるBowling Green State University に入学。 
卒業後、日本へ帰国し、米系会計監査法人アーンストアンドヤングにて外資系証券会社の会計監査担当。
その後、メリルリンチ日本証券に転職。 2008年4月からメリルリンチニューヨーク本社へ籍を置く。
(2009年1月より合併の為バンクオブアメリカ・メリルリンチ)

【英語=嫌い】


私の中学・高校時代を知っている友達は、まさか私がアメリカの大学に行き、英語を使う職業に付き、そして今ではアメリカに住んでいるなんて誰が想像したことでしょう。 そう、英語は全く得意ではありませんでした。 覚えても覚えても、覚えきれない単語の数々、どんどん難しくなっていく文法、まねの出来ない発音など。 はっきり言ってしまえば、私にとって英語は全教科の中でも、大嫌いな科目でした。

高校2年生の夏休み、1ヶ月間、アメリカのシアトルでホームステイをするというプログラムがありました。 英語嫌いの私にとって、アメリカに行くことは全く興味ありませんでした。 それよりも、友達と1ヶ月も一緒に旅行ができるというところに惹かれた私は、英会話の心配など毛頭なく、どうにか親を説得してそのプログラムに参加しました。 そこで私の人生を変える衝撃的な出来事があるなんて思いもせずに…

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【人生の転機】

シアトルでは生徒に一人ずつホストファミリーがつきました。 私の家族はマミー、ダディー、当時12歳のお兄ちゃん、9歳の妹の4人家族でした。 会ったその日から、子供たちとは意気投合し、マミーもダディーも優しくて、気楽なとっても居心地がよいファミリーでした。 でも、そこには大きな難題があったのです! 家族の言ってることが一切わからない、自分の言いたいことが一言も言えないのです。 そう、私たちは一切コミュニケーションがとれなかったのです。 とりあえず、ジェスチャーと笑顔で毎日を乗り切っていました。 それでも1ヶ月間、本当に楽しい時間を過ごすことができたため、私の帰国の際には5人とも泣き続けていました。 その時に、あー、この人たちに自分の胸の中の感謝の気持ちを伝えられたら、どんなにいいだろうと思ったのです。 そして帰国後、私はあの素晴らしい家族ともっと沢山いろんなことを話せるように、英語を習得しようと心に決めたのでした。

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【アメリカ留学】

高校2年生の2学期、日本に帰国した私は、周りが国内の大学受験を本格的に始めようとしている中、アメリカの大学に行くことを決めました。 それから苦手だった英語を一生懸命勉強して、高校卒業後にオハイオ州のボーリンググリーン州立大学に入学しました。 渡米した当初は思っていた以上に英語がしゃべれず、聞き取れず、毎日、大学の授業に行っては途方に暮れていました。 いつも授業の後、教授の後ろをついて行って、宿題は何か、どこを重点に勉強したらいいかなど、個人指導をお願いする始末。 しかも片言の英語でです。
しかし、そんな私でも、2年生を過ぎた頃には学生生活をエンジョイできるほどまでに英語が上達してきました。 一緒に住んでいたアメリカ人のルームメイトや寮の周りの友達のおかげで、日常会話やアメリカで暮らすという常識を、この時期にたくさん学びました。 大学では会計学を専攻し、一生のうち、もうないであろうというくらい勉強しました。 毎日図書館に通っては夜中まで勉強する平日、そして週末はおもいっきりパーティに参加するという、なんとも充実した4年間。 私の人生、価値観を形成するにあたって、本当に大切な大学生活でした。 卒業式にはシアトルのホストファミリーもお祝いに来てくれて、念願の高校生の頃に話せなかった話をたくさんすることができました。

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【真の国際人】

大学卒業後は日本に戻り、会計監査法人で働いた後、今のメリルリンチに転職しました。 日本にいるのに、とてもグローバルな環境で、ミーティングやメールはほとんどすべて英語です。 女性であることや社会経験の少なさや多さなどは全く関係なく、社員にたくさんのチャンスを与えてくれるすばらしい会社でした。
私はここで、自分の意見を公共の場ではっきり述べる自信を身につけることができました。 日本のメリルリンチで働いているうちに、ぜひ本社のあるニューヨークで本場の金融を見てみたいと思う気持ちが強くなり、上司に相談したところ、アメリカの本社に働きかけてくれて、2008年4月から念願のニューヨーク勤務が始まりました。 私は今、ニューヨークの金融街、ウォールストリートに近い、ワールドファイナンシャルセンターで、世界各国から集まった社員らと働いています。 私の同僚たちは、アメリカ、ヨーロッパ、インド、ジャマイカ、中国、プエルトリコ、メキシコ、ロシアなど、本当に多国籍です。 そしてこの多国籍な会社の共通語は英語です。 いろんなアクセントのついた英語がオフィス中に飛び交っています。 文化、宗教、教育環境など、全く異なる私たちを結びつけ、同僚としての強い絆を築けているのは英語なのです。 私はニューヨーク転勤後に改めて、高校生のあの時期にアメリカの大学に行くことを決意して、本当に良かったなと思いました。 今こうして英語を話せ、国際人として働けていることも、高校時代に英語でのコミュニケーションの大切さを痛感したおかげだと思います。

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【最後に】

今、英語を勉強している学生の皆さんに知っておいてもらいたいことは、英語は単なる受験教科のひとつではないということです。 文法や単語など、覚えることもたくさんありますが、英語を習得するということは、それ以上のものをあなたの人生にもたらしてくれます。 自分の価値観が大きく変わり、自分の可能性がどんどん広がり、真の国際人として社会で生きていく感覚は、本当にすばらしいものですよ。

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