先日のコラムでユニクロが英語を公用語にするという発表について話したが、2012年まではあと1年半しかない。
世界に散らばるファーストリテイリング社が瞬時に情報交換し、無駄を無くす効率化、更には優秀な人材を世界各国から登用し、世界のどの支店にも配属可能という意味では素晴らしい利点がある。
ところが、問題もきっと発生する。
まず、会計基準が各国で異なるため、どの国の基準に合わせるかという問題が生じる。 レポート形式も同じに統一しなければ必ず歪が来る。 ファーストリテイリング社は山口県に本社があるわけで、日本の企業ということになるが、会計も英語での表記となれば必然的に英語圏の会計基準に合わせたほうが良い。 なぜなら、例えば、日本の会計用語とUSのAccounting Termsは(定義も)異なるからだ。 日本に所在する外資系は基本的に本社のある国の会計基準に合わせている。 例えば、リーマンショックを起こしたリーマンブラザーズはUSの会計基準で統一していた。 それならば、ユニクロは全世界を日本の会計基準にあわせるのだろうか?
そして、人事の問題。 ファーストリテイリング社は幹部社員の賃金体系も世界で統一し、店長クラスの海外異動を日常化させると言っている。 ならば、各国間の物価や金銭感覚の差をどう考えるか。 つまり、先進国から発展途上国への移動は賃金の価値が高くなる。 つまり、裕福な生活ができるため、私生活を含めて金銭感覚が麻痺する可能性が大いにある。 その感覚を現地の仕事に持ち込むと生産性は一気に下がる。
また、発展途上国から先進国への移動は逆に金銭感覚がシビアになるから、その文化での人との付き合いにうまく順応できるかどうかという問題も生じる。
私は数年前まで、アメリカに所在するエグゼクティブサーチ・ファームで働いていたため、海外の優良企業、日本の大手企業の状況を良く知っているが、うまくいく企業はグローバライズしていても、現地の人材を登用し、現地に密着した経営で進めている。 そして、ごく僅かな経営幹部だけが英語を使えればそれほど問題ない。 ただし、会計などの統一すべき部門は英語を公用語とし、スタッフもそれなりに話せる人数が多い必要はある。
つまり、英語は幹部だけできればいい。 ならば、幹部のみ集中的に世界でコミュニケーションが取れるだけの英語力を高めればいいのではないか? 全ての人に公用語として英語を押し付けることは非効率の何ものでもない。
ちなみに、ユニクロの「海外で業務ができる最低限の水準」として、「TOEIC」で700点以上の取得を求めるというのは全くの意味がない。 700点でも800点でも、英語は話せないし、使えない人ばかりだ。 TOEICで基準を設けるのなら最低900点だろう。 それでも英語を話すということの能力は全く違うものであるから、即座なコミュニケーションを取れるかというと懐疑的である。
英語を使える段階に持っていきたいというのなら、TOEICを指標にしていてはだめだ。 たとえ、SWと呼ばれるSpeakingとWritingのテストをやっても無理である。 どうすればいいか。 それは簡単で、ESPのトレーニングを行い、独自の英語基準を作るに限る。
それは難しいことではない。
ただ、そのトレーニングの知識と技術を持っているところがほとんどないだけだ。
日本の企業や学生の英語力の根底を上げるためにも、新しい発想で英語教育をする必要がある。
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そして、必ず成果も出してみせます。